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改正不動産登記法の実務について

登記済権利証について

1.オンライン指定庁における取扱い

(1) 登記識別情報

オンライン指定庁においては、登記済権利証は発行されません。
代わりに、12桁の英数字の組み合わせによる登記識別情報が通知されます。
登記識別情報は1不動産1登記名義人ごとに通知されます。
たとえば、本地1筆と私道持分3筆と建物1棟を夫婦共有名義で購入し登記した場合

5(不動産の数)×2(登記名義人の数)=計10個の識別情報が通知されます。

後日、当該不動産を売却したり抵当権を設定するときは、従来の権利証に代わり、この10個の識別情報全てを提供します。

¯ 提供できない場合は、司法書士による本人確認制度か事前通知制度を利用することになります。


(2) 有効証明請求

ところで、登記識別情報を提供する方法により登記申請を行う場合、その有効性については、従来の権利証のように受付年月日と受付番号を登記事項証明書と照らし合わせて確認する方法はとれません。

登記識別情報は登記名義人となる者に対してのみ通知されるものですので、司法書士にはその有効性を判断することはできないのです。

そこで、法務局にその識別情報が真に当該不動産の登記名義人に通知されたものであるのか、その有効性を証明してもらうことになります。
この請求をするためには、請求権があることを証するため、印鑑証明書付きの請求書を提出してします。 (代理人がする場合は委任状が必要になります。)

この有効証明には一定の手数料がかかります。
また、即時に証明が出るわけではないので、登記識別情報の提供により決済を行う場合には、事前に有効証明を取得しておく必要があります。

とはいえ、一度有効証明を取得したとしても、その後、登記義務者は自由に失効請求をすることができ、その場合は当該識別情報を提供しても、登記はできないことになります。
したがって、識別情報提供による決済には、危険が伴うことになるのです。


(3) 非通知の申し出・失効請求制度

登記識別情報は権利証のような「物」ではなく、「記号」という情報であるため、紛失・盗難という概念はありませんが、逆に言えば、見られるだけで盗まれるのと同じことになってしまいます。

また、不動産の個数や登記名義人が増えるにつれ、多くの識別情報が通知されることになるため、資産家や不動産業者にとってはその管理が大変です。

また、たとえ識別情報を完璧に管理したとしても、後日、売却や借り換えで登記義務者となる申請において、司法書士が代理人となる場合には、前述のように、識別情報提供による登記申請には危険が伴うため、本人確認制度を利用することになります。

したがって、識別情報の通知を受ける実益はあまりないかもしれません。
そこで、当初から非通知を希望することができます。
また、一度通知された識別情報を失効させることもできます。
この場合、再交付はできません。


2.未指定庁による取扱い

未指定庁においては、従来どおり登記済証が発行されます。
ただし、指定庁の取扱いと同様、不発行の申し出をすることができます。
申請書にその旨を記載する方法により、この場合、登記済証は発行されません。